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【書評】『ワークハック大全』の考え方も学習に応用する

この本の正確な邦題は、「GoogleYoutube・Twetter で働いた僕がまとめたワークハック大全 仕事がサクサク終わってラクになれる化学的メソッド」になります。本屋さんであまりに長い題名と、おいおい有名企業の名前を入れればいいってもんじゃないでしょ、と多少面白がって手に取りました。ただ、パラパラめくってみると結構面白かったので思わず購入し、今回書評とすることにしました。ちなみに原題は、Bruce Daisley, "The Joy of Work"です。何もかも違います。良い悪いは置いといて、本を売るための名前の付け方としては勉強になります。原著の版年は2019年です。

 

 

邦題にもあるように、著者のブルース・デイズリーはアメリカの有名企業である"Google", "Youtube", "Twitter" で働いた経験があるとのことです。面白いのが、そのような有名企業で働いた経験から、この会社のここが良いところだった!と良いところのみを書くのではなく、悪いところもそれはそれとして書いてあるところです。面白かったのが、有名な Google の20%ルールに関するものがあります。Google では創業時からエンジニアに対して、勤務時間の20%を「今後の Google にとってためになると思うこと」をする時間とし、本業でないことに費やして良いというものです。そこからGメールなどの機能が誕生したと言われています。ですが、実態に関しては、

「もちろん、20パーセントルールを実践しているさ。私たちはそれを "土曜日" と呼んでいるけどね」(p. 304)

とあるように、そのとうりには実践できていないとのことです。一応、著者は「まあ20%は多すぎるけど、週2時間程度なら意味がある!」としています。

 

本の特質性とそれに関する提言

この本が秀逸だなと感じさせるのが、その研究や調査などのエビデンスの提供量です。著者も、

「(昔ながらの方法論に頑固な人たちを)黙らせるような科学的なエビデンスを見つけることに喜びを感じている。残念なのは、こうした証拠の多くが専門誌や研究論文の中に留まっていることだ」(p. 355 括弧内筆者追記)

 としています。ほとんどの章において必ずというほど研究や調査の類が出てきて著者の意見を裏ずけます。「〜年の〜大学の〜の研究において」などと前置きがされ、他の人の研究内容を引用することによって、著者の意見をつなぎ合わせています。まず内容云々はともかく、このような文章を書きたいと思わせます。まあ今書いているようなブログでは、自分の意見ですので何を書いても良いように思います。ですが論文などはもちろんのこと、出版される本であるとか、テレビであるとかいった場合は、それなりの証拠を提示していくことによって情報の価値が高まることを感じました。

ただ、一個残念だと思ったのが、それらの文献の詳細を調べようと思った時に、訳注や参考文献がこの本のどこにもなかったことです。というのも、URLが指定されており、そのURLに原注が載っています。出版社的にはこれによって紙のページ数を削減できるので、費用を抑えられるからでしょうか。ただ、言わせていただくと紙の本の良さは、そのような訳注や参考文献が最後にまとまっていたとしても、一瞬で引けることです。電子版である場合、何回か画面をクリックするか、めちゃくちゃスクロールするしかありません。そのような紙の本の良さを無くしてしまうのは、この本の研究や調査を重視する性質上、如何なものかなと思いました。

 

内容について

基本的には邦題の「ワークハック大全」とあるように、30個のワークハックをまとめたものになります。その種類は3種類あり、

  1. リチャージ
  2. シンクロナイズ
  3. バズ

に分かれています。"ワーク" とある通り、基本的には仕事に関するものになっていますが、このブログでは「学習」をテーマにしていますので、仕事を学習に読み替えて使えそうな部分を拾っていくこととします。まあ仕事でも学習する機会は多いですし、そもそも仕事自体が学習であると考えることもできます。

 

まず最初の項目は「リチャージ」です。基本的には休むことの重要性を説いていきます。日本人は基本的に長時間労働をすることが良いこととみなされていることもあったりするでしょう。しかしながら、働く時間を減らしたり、十分な睡眠を取ることによって、その生産性が上がると述べます。また、電子機器や今流行りのオープンスペースのワークスペースによって引き起こされる悪い面についても記載しています。

オープンスペースに関しては、

「研究によれば、オープンオフィスに切り替えることで、社員同士がやりとりするメールの数は56パーセント増加し、対面でのやり取りは3分の1に減少した」(p. 40)

ことにより、自身の仕事が中断されることによる集中力の低下を問題視します。基本的には人間はマルチタスクが苦手であり、作業を切り替えることにも切り替えコストがかかります。オープンスペースにするような時は、決まってその良い面のみが取り上げられますが、1人で集中して作業をする時は、反対の効果を生み出すとしています。これは、コロナで多くの企業での導入が進んだ「テレワーク」に関しても同様で、1人で作業する時間が増えることで、生産的で有意義な仕事ができる可能性があるとしています。

ただ、はっきりさせておきたいのが、仕事にも種類があるということです。集中が途切れることが全ての業務で悪いわけではないことも著者は指摘しています。仕事の種類とは、

  • イデアを自由に生み出したい
  • 複雑で論理的な問題を解きたい

という2種類に分けられます。前者は色々なことに気が向いていたり、他の人と話したりすることによって創造性が高められ、良いアイデアが出やすい時もあるとしていますが、後者に関しては1人で黙々とやったほうが生産性が高くなるとしています。

その後者のような仕事をするときに有効な手段として、「通知をオフにしよう」というものがあります。これは先日記載した「Learn Like a Pro」にもあったように、メールの通知をオフにしたり、少なくてもアイコンの右上に出る数字を消そうというものです。メールが残っているということが視界に入るだけで、考えてはいないようでも多少の気が向いてしまいます。

「作業記憶は一度の1つのことしかうまく処理できない。科学は、一度に複数のことをする「マルチタスク」が、実は生産性を落とすことを明らかにしている。(...) 多くのことを成し遂げたいのなら、一度の1つのことに集中すべきだ」(p. 101)

 とあるように生産性を落とすだけでなく、幸福度にも影響があるとする研究にも言及します。

 

他にも、「ランチに行こう」や、「十分な睡眠をとろう」といった、きちんと休みを取ることの重要性や、「オフィスでヘッドフォンを活用しよう」などといったような、昔ながら体質の人には理解され得ないと思われるものまで出てきます。ただ、著者もその全てがどんな人にも受け入れられない可能性を考慮しており、それに対して先ほど記述したようにこういうエビデンスがあるんですよ、と説得することができるのではないかと考えています。

 

2つ目と3つ目の「シンクロナイズ」と「バズ」に関しては、基本的に数人で仕事をする場合にするべきこと、するべきではないことをまとめており、特に仕事をするときにどのように周りの人との関係を築くかに焦点を当てています。今回は「学習」とは少しずれるので割愛したいと思います。

 

いかがだったでしょうか。割愛した2と3でも、研究や調査から明らかになったことを中心に自身の考えを述べていきます。ただ、通じて強調することとして、それぞれの仕事にあった環境で効率の良い仕事をしよう、ということです。やみくもにこれをすべき!とするような図書は多いですが、そうではなく、このような種類の仕事ではこのような仕事の仕方が研究により適していると結果が出ている、といった方法で論が進められます。参考になると思えたり、新しい発見も多いので、是非読まれてみてください。

 

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